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他の人にも参考になると判断された場合は、質問者の了承を得てから
個人情報等を伏せてQ & A集に掲載する場合もあります。
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本会員の皆様は、生殖工学関連業務に従事してから数年〜十数年経過している方々が多いと思います。その経験を重ねる過程の中で様々なノウハウが蓄積される一方で、いくつかの疑問にも直面していると推察いたします。専門家として育成される過程で、しばしば、知識として蓄えなければならない事項(用語、メカニズムなど)を素通りしてしまい、「今さら聞けない」事態に陥っている場合が少なくないことを反映しているように思われます。
本稿は、このような専門家や経験を蓄積途上の方々を対象に、互いの知識や経験を交換する卒後教育の場を提供しようと企画されました。研究会・学会は、会員相互による卒後教育の機能を担っていると考えます。この場を通じて、多くの会員の皆様の疑問が解消でき、質の高い生殖工学の振興に貢献されることを期待しています。
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動物生殖工学研究会 <[email protected]> |
Q1:生殖工学と発生工学の違いを教えて下さい。
Q2:マウスなどの初期胚を保存する方法に、凍結保存方法とガラス化保存方法がありますが、その違いは何でしょうか?
Q3:凍結保存液やガラス化保存液はどのような物質から構成されていますか?また、それぞれの構成要素の役割は何ですか?
Q4:液体窒素中で保存している凍結保存胚や精子についての保存可能期間は何年くらいですか?
Q5:2細胞期で凍結したマウス胚の融解後、片側割球が死滅していました(もう片方の割球は正常)。この胚を移植しても産子へ発生が期待できますか?
Q6:ドライシッパーに液体窒素を十分に充填して海外へ送ったのですが、結果的に液体窒素がカラになってサンプルは融けていました。このドライシッパーは故障(不良品)していたのでしょうか?
Q7:凍結サンプルの入ったストローやチューブを液体窒素タンクに入れて輸送したいのですが、通常の宅配便で良いでしょうか?
Q8:遺伝子改変マウスの精巣上体尾部の輸送に関しても、カルタヘナ議定書のルールが適用されるのでしょうか?
Q9:レシピエントマウスへ胚移植を行う適切なタイミングを教えてください。
Q10:マウスの凍結保存胚を融解した結果、数個の2細胞期胚と数個の桑実胚が残りました。少数の胚を移植した場合には分娩が遅延して結果的に産子を得ることができないので帝王切開が必要になると聞きました。里親を用意していません。どうしたら良いでしょうか?
Q11:体外受精と人工授精の違いを教えてください。
Q12:前培養したマウスの精子は、培養何時間目まで精子を体外受精に使用できますか?例えば、前培養10時間後の精子でも受精することができますか?
Q13:体外受精後の受精卵を受精用培地から体外培養用培地(mWMやKSOM、mCZB)に移すベストなタイミングはいつでしょうか?2細胞期で移すより、前核期で移したほうが良いでしょうか?
Q14:過排卵処理卵子の受精能保有時間はどのぐらいでしょうか?
Q15:体外受精においては、採卵後、直ちに精子を添加することが推奨されていますが、どの位の時間媒精せずに卵子を培地内でインキュベートすることが許容されるのでしょうか?
Q16:ヒトやマウスにおいて、運動性の低い精子を用いた体外受精をする場合に透明帯の一部を切開してバイパスすることが推奨されていますが、これに使用する機材(レーザー照射装置)が非常に高価です。これを用いることなく透明帯をバイパス方法はないのでしょうか?
Q17:マウスの過排卵処理においては幼若マウスの方がホルモンへの反応性が高く多くの卵子を得ることができると聞いたので、ICRの3週令程度の幼若マウスに過排卵処理を施しましたが、得られた卵子数は12週令のマウスより少ないものでした。なぜでしょうか?過排卵処理はPMSGとhCGが各5単位で、48時間間隔で皮下に投与しました。採卵はhCG投与後15時間で行いました。
Q18:マウスの過排卵処置において、hCGは暗期で作用して排卵を促すとされているので、通常、夕方に投与していますが、朝にPMSGとhCGの投与を行っても過剰排卵を誘起することが出来るのでしょうか?
Q19:マウスの体外受精で使用できる動物の週齢の上限はどれくらいでしょうか?
Q20:受精卵の培養を実施する実験室で、卵子や受精卵の核染色を実施しても大丈夫でしょうか?
Q21:受精卵の培養を実施する実験室の照明に一般的な蛍光灯を用いても問題ないでしょうか?
Q22:入手直後の馴致をしていない雌マウスに過排卵処理をしても影響はありませんか?馴致期間は必要ですか?
Q23:死亡雄個体から採取した精子で、体外受精は可能でしょうか?
Q24:TYH培地で胚盤胞期まで培養できますか?
Q25:受精用あるいは培養用培地の最少液量は集団培養と個別培養でどのくらいでしょうか(マウス、ウシ)?例えば、体外受精用ドロップを300μlで作成した場合、何匹の雌(もしくは何個の卵子)がそのドロップで受精可能でしょうか?
Q26:いくつかの液体培地は業者からアンプル封入の状態で購入可能ですが、開封した培地は開封後何日目まで使用可能でしょうか?
Q27:培養用ドロップを覆うオイルについて、フィッシャー社製のオイルは洗浄(オイルに培養液を入れて数日スターラーにて撹拌する操作)してから使用していますが、他社製のオイルには洗浄無しでも使えるものがあります。なぜフィッシャー社製のオイルは洗浄が必要なのでしょうか?
Q28:顕微鏡で観察するとマウスやヒトの卵子や受精卵は透明感があり前核が見えますが、ウシやブタの卵子や受精卵は色が濃く前核が見えません。動物種によって卵子や受精卵の色の濃度が異なるのはなぜですか?
Q29:胚盤胞を用いた注入キメラ胚の作成のため、過排卵処理マウスから胚盤胞を採取しようとして3.5 dpcに子宮を還流しましたが、ほとんど胚が回収できませんでした。なぜでしょうか?胚盤胞を効率に得る最も良い方法を教えてください?
Q30:マウスを一般の飼育棚(オープンラック)で飼育する場合、オスケージとメスケージを同一ラックで飼育可能でしょうか?
Q31:成熟オスを複数飼育していたら激しい喧嘩が始まったがどうすればよいのでしょうか?
Q32:遺伝子改変マウスが野外に逃亡したら、本当に野生マウスと交配してしまうのでしょうか?
Q33:マウス胚の移植において、経卵管采法と経卵管壁法のメリットとデメリットを教えてください。
Q34:移植の際のキャピラリの材質と形状について教えてください。
Q35:移植時(おもにマウス)の麻酔薬はどんなものがよいでしょうか?
Q36:里親は出産後何日目まで里子を受け入れることが可能でしょうか?
Q37:マウスを連続同居で繁殖をしています。より効率的に生産するために早期に雄を雌から離して別の雌と交配させたいのですが、毎朝プラグを確認する余裕もありません。プラグを確認する以外に、何か良い交尾確認・妊娠診断法はありませんか?
Q38:マウスに過排卵処置を行う際、PMSG(eCG)とHyper Ovaで最適週齢に違いはありますか?
Q39:マウスへのPMSG(eCG)とhCGの投与間隔は48時間が推奨されていますが、この時間から外れると排卵数等に影響がありますか?
Q40:マウス腹腔内注射で過排卵処理をする際にPMSG(eCG)およびhCGの投与量が国際単位(IU)で記載されていました。天然ビタミンEは0.67mg=1IUとあったのですが、購入したアンプルのホルモンでは何mgで1IUなのかがわかりません。投与量5IUに調製する方法を教えてください。
Q1:生殖工学と発生工学の違いを教えて下さい。
発生工学は、「主に哺乳動物を対象として、生殖細胞、初期胚あるいは多分化能を有する細胞に対し、何らかの遺伝子操作を加えて発生の過程を操作する方法や、その操作によって得られた動物の解析や利用を研究する領域」と理解することができます。つまり、発生工学は、分子生物学(遺伝子工学)、生理学(病態生理学)、組織学(病理学)、実験動物学、繁殖学(生殖工学)などから構成される統合的な研究領域であり、in vivoの遺伝子機能解析系であると考えられます。
また、生殖工学は人工繁殖技術や生殖補助医療技術を包含するとともに、生殖細胞・胚操作技術を中心とした発生工学の一部を構成する研究・技術領域であると考えられます。胚操作技術の単独利用で本来in vivoで起きる現象をin vitroで再現させることや、自然界では存在し得ない個体の人為的作成を発生工学に含める考え方もあるようですが、これらは生殖工学に分類されるのが適切かと思われます。
発生工学は、「主に哺乳動物を対象として、生殖細胞、初期胚あるいは多分化能を有する細胞に対し、何らかの遺伝子操作を加えて発生の過程を操作する方法や、その操作によって得られた動物の解析や利用を研究する領域」と理解することができます。つまり、発生工学は、分子生物学(遺伝子工学)、生理学(病態生理学)、組織学(病理学)、実験動物学、繁殖学(生殖工学)などから構成される統合的な研究領域であり、in vivoの遺伝子機能解析系であると考えられます。
また、生殖工学は人工繁殖技術や生殖補助医療技術を包含するとともに、生殖細胞・胚操作技術を中心とした発生工学の一部を構成する研究・技術領域であると考えられます。胚操作技術の単独利用で本来in vivoで起きる現象をin vitroで再現させることや、自然界では存在し得ない個体の人為的作成を発生工学に含める考え方もあるようですが、これらは生殖工学に分類されるのが適切かと思われます。
Q2:マウスなどの初期胚を保存する方法に、凍結保存方法とガラス化保存方法がありますが、その違いは何でしょうか?
大きな違いは、冷却した際に、氷の結晶が細胞内外に形成されるか否かです。凍結保存方法は氷の結晶を成長させながら冷却します。一方、ガラス化保存は氷の結晶を生じさせずに冷却します。
哺乳動物の卵子や胚の細胞質は、85%程度が水で構成されています。これらの細胞を氷点下まで冷却すると氷晶を形成しますが、細胞内の氷晶形成は細胞を物理的に破壊することになるので、細胞の凍結保存においては、これを防ぐことが最大の課題と言えます。このため、保存液に凍結保護物質を添加しています。細胞を長期間保存するためには、(多くの水分を含む)細胞を固体にしなければなりませんが、液体が固化する場合には氷晶を形成する場合と形成しない場合があり、後者をガラス化(vitrification)と呼んでいます。これは、低温下で液体の粘度が高まり、一定の温度(ガラス化転移温度)以下で固化する現象で、氷晶を形成しないのが特徴です。ちなみに、細胞内のガラス化転移温度は−130℃ですので、ガラス化した細胞の保存には、ドライアイス(−79℃)ではなく液体窒素(−196℃)が必要です。
大きな違いは、冷却した際に、氷の結晶が細胞内外に形成されるか否かです。凍結保存方法は氷の結晶を成長させながら冷却します。一方、ガラス化保存は氷の結晶を生じさせずに冷却します。
哺乳動物の卵子や胚の細胞質は、85%程度が水で構成されています。これらの細胞を氷点下まで冷却すると氷晶を形成しますが、細胞内の氷晶形成は細胞を物理的に破壊することになるので、細胞の凍結保存においては、これを防ぐことが最大の課題と言えます。このため、保存液に凍結保護物質を添加しています。細胞を長期間保存するためには、(多くの水分を含む)細胞を固体にしなければなりませんが、液体が固化する場合には氷晶を形成する場合と形成しない場合があり、後者をガラス化(vitrification)と呼んでいます。これは、低温下で液体の粘度が高まり、一定の温度(ガラス化転移温度)以下で固化する現象で、氷晶を形成しないのが特徴です。ちなみに、細胞内のガラス化転移温度は−130℃ですので、ガラス化した細胞の保存には、ドライアイス(−79℃)ではなく液体窒素(−196℃)が必要です。